秘書になるために学ぶにあたっての意識付けの項目であり、「職務知識」から「技能」までの全ての分野の根底になっている項目です。
心構え
・秘書は上司の補佐役である、陰の力、縁の下の力持ちであること、秘書の職務限界を知る。
でしゃばった行為や上司を差し置いた行動をしてはいけない、常に上司を立て裏方に徹することが肝要です。
・上司との信頼関係をきずく、上司の人間性を理解したうえでの補佐を行う、上司の職務内外での活動範囲について知識と理解を持つ。
秘書と上司は信頼関係の上に成り立っていることを理解しましょう。この信頼関係をきずくためにも、細部に渡るまで知識と理解が必要になってきます。
・秘書=上司のイメージ=企業全体のイメージ、社内外の人にたいするイメージを大切にする。
秘書は来客の応対もしなければなりません。来客と始めに接するのは秘書ですから、秘書の人柄やイメージがどれほど大切なものか、相手に好印象を与えることによって企業が発展していきます。
・優越感を持ちやすい職種である、企業の重役につくことが多いため、企業機密などに触れる機会が多い、勤務場所が上司執務室の隣室、上司と同室のことが多いため他部署の人との交流が少ない、上司にあわせた勤務時間体制になっているため、交際範囲が狭まる。
・資質は覚えるものではなく身につけるものですから、繰り返し勉強することが大切です。
求められる能力
(記憶力)
・内容を正確に覚えておくことができる、メモなどを活用し記憶力を補う。
・記憶力は上司が秘書に求める一番の能力といってもよいでしょう。上司からの指示、他些細な情報も正確に記憶しておくと、信頼関係が一層深まります。
(表現力)
TPOをわきまえた言動・態度で情報の伝達ができる、説明や報告を正確に迅速に行うことができる。
相手との距離や差を考えて言葉を選ばなければなりません。
(情報収集)
・上司・企業が必要としている有益な情報を収集し、その情報の分析、調査を行うことができる、社内での噂話なども、必要と思われるものは事実のみを情報として提供できる。
・日頃から社会情勢に目を向け最新情報を用意し、上司が必要な時に提供できるよう準備しておかなければなりません。社内での情報収集(噂話など)も必要と思われるものは情報として提供します。
(予知能力)
・状況を把握し、上司からの指示内容を察し事前準備をしておくことができる。
・次に必要なことは何か、次に自分が処理する仕事内容は何か、上司からの指示、処理する仕事の所要時間など、察し適切に事前準備する能力も重要な役割を果します。
(機密保持能力)
・機密事項に触れる機会が多いことを理解する、機密漏洩は、社内外における重大なトラブル・損失に結びつくことを認識する。
・機密の漏洩は企業そのものの信頼性を疑われるものなので、細心の注意が必要です。
機密事項に関することを聞かれた場合、知っていたとしても「知る立場にはない」という対応をすることがたいせつです。
日常生活において、家庭内でも話すべきではありません。
機密に関する内容は口にしないことが賢明です。
・人間関係をよりよくする能力
人間関係をよりよく保つための橋渡し役になる。
いついかなるときもより良い関係を保つための役割を果さなければなりません。
人柄と身だしなみ
(身だしなみの基本となるもの)
機能的である、清潔感がある、調和がとれている。
対外的印象を良くするための大切な要素の一つです。年配者と接する機会が多いので、心証をよくするうえでも基本に忠実であることが望ましいです。
(身だしなみのマナー)
・健康美:規則正しい生活・適度な運動を心がけ、いつもはつらつとした行動、態度で仕事に臨みましょう
・服装:対外的に不快感を与えない色や形のもので、調和を考えたシンプルなものを着用します
・髪型:清潔感を第一に考え、ロングヘアーの場合はきちんとまとめるようにします
・化粧:健康的印象を持たれるようなナチュラルメイクが好ましいでしょう
・靴:動きやすいパンプスを履きます
・アクセサリー:大きなものや華美なものは避け、シンプルでセンスのよいものを選びます
(人柄)
感じのよい人柄であること。
人柄は人間関係を円滑にするための重要なポイントでもあります。
・誠実であること
・機密を守れること
・責任感を持ち、かつ協調性を大切にできること
・感情的にならず、常に冷静で客観的にものごとを考えられること
・相手の立場に立ったものの考え方ができること
・思虚深いこと
・謙虚な姿勢で物事に取り組むことができること
・視野が広く向上心や研究心があること
・知性や教養がそなわっていること
応用
・面会予約のある来客対応
相手企業を訪問したい時、商談を希望する時、必ず面会予約(アポイントメント)を取ります。
時間の有効利用、事前準備が必要なものが多いことから、スムーズに進めるうえでも大切なものになります。
アポイントメントの取り方
・上司への確認
相手先と面会希望場所、日時(相手の都合を考え2~3候補日を挙げる)、所要時間、同行者の有無、事前に用意する資料の有無
・相手先に電話
上司からの指示通り相手に伝え、相手先の都合を聞き、日時場所を確認します。
・上司に報告
相手先との決定事項を報告します。
・スケジュール決定
上司に確認したあとスケジュール表に記入します。
・スケジュール変更
スケジュール決定後、相手先から変更の連絡があった場合、その前後のスケジュールとともに報告し指示を仰ぎます。
アポイントメントの受け方
・電話で連絡を受けたら
上司在席中は、当日のスケジュールとともにすぐに報告し指示を得て、相手先に伝えます。
・上司に報告
相手先との決定事項を報告します。
・スケジュール決定
上司に確認したあとスケジュール表に記入します。
・スケジュール変更
スケジュール決定後、こちらの都合で変更したい場合は、至急相手先に電話連絡を取り、お詫びを述べたあと変更理由と新たなアポイントメント希望日時などを告げ承諾を得ます。
アポイントメントのある来客対応
・上司が在席しているとき
速やかに取り次ぎます。
・上司不在のとき(30分以内に戻る時)
お詫びの言葉と理由を述べ、待っていただくようお願いします。
・上司不在のとき(30分以上もどらないとき)
お詫びの言葉と理由を述べたあと、代理者を立てる、伝言を受けるなど相手の意向を聞きます。
アポイントメントのない来客応対…上司が在席しているとき
・相手が取引先企業であるとき
上司に来客の旨を知らせ意向を聞く。
・相手が転任のあいさつに来たとき
転任のあいさつはアポイントメントなしで来訪するのが通常です。
短時間ですむことが多いので、基本的には取り次ぎます。
・その他の来客
取材の申込、寄付などの場合は、速やかに担当部署に連絡し対応してもらいます。
その他、自分で判断しかねる場合は、秘書課長など直属の上司に相談します。
・秘書は基本的資質、心構え、能力をもとに具体的状況のなかで瞬時に判断し対応しなければならないことが数多くあります。的確な判断と対応が企業にとって極めて重要な役割を果します。
一言アドバイス
いろんな場面で対応するため、日常社会的にあらゆる情報を収集し、TPOマナーを身につけることが大切だと思います。
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